橋下徹「慰安婦放言で“軍隊と性”緊急激論」(2)自衛隊のイメージをブチ壊し

橋下徹「慰安婦放言で“軍隊と性”緊急激論」(2)自衛隊のイメージをブチ壊し

2013/05/29

橋下徹「慰安婦放言で“軍隊と性”緊急激論」(2)自衛隊のイメージをブチ壊し

 橋下氏の「軍隊とセックス」論を、我が国の自衛隊員はどう捉えたか。30代の陸上自衛隊員を直撃すると、渋い表情でこう言った。

「正直、軍隊に性処理は必要だ、という言い方は迷惑千万ですよ。そりゃ基本は男組織ですし、若くて独身なら性欲を持て余す人はいるでしょう。でも男中心の組織って、世の中を見渡せば自衛隊だけじゃない。そういう社会ではみんな性処理のために風俗を活用したり、慰安婦制度みたいなのが必要だと彼は言うわけですかね。ちょっとズレていますよ。別に風俗に行かなくても性処理はできますよ。今はスマホでエロ動画を見られる時代ですから」

 別の陸上自衛隊員は、

「かつて現役閣僚が『自衛隊は暴力装置だ』と言ったことがありますよね。あれにはすごく傷つきましたが、今回はそれと別次元の話とはいえ、やはり傷つきます。軍と性処理は不可分、という言い方は‥‥。自分たちはそれほど意識が低くはないと言いたいですね」

 と前置きして、新たな問題が降りかかることを懸念する。

「『軍隊と性』とひとくくりで言われることで、何かの拍子に自衛隊にも飛び火しないか。自分たちはいざとなれば国民を守るために命を投げ出さなきゃならない。でも、それに見合った評価を受けていません。ひなたの存在としては扱われていませんが、東日本大震災後の活動で、かなり自衛隊アレルギーも薄らいだと思っているんです。そうしたものが、今回の一件の余波でブチ壊しにならないか。この環境下で自衛隊員が性犯罪でも犯して報道されたらどうなるんだろうと戦々恐々としています」

「昔の軍隊や、性犯罪を繰り返す米兵とは違う」とのプライドとともに、「風評被害」への強い抗議も込められているのだ。

 30代の海上自衛隊幹部も意識は高い。

「そもそも軍と性の問題は別モノでしょう。軍規があって、それに違反した場合の厳罰を徹底すれば、完全にゼロにはならなくても、性の面で暴走する兵士の存在はいつの時代でもかなり防げるんですよ。その枠の中で自分がどう性処理するかは組織の問題ではなく、個人のプロ意識、矜持の問題です。その意味では、慰安所がいわゆる強制ではない、同意をした女性による売春として制度化していたとしても、本来はNGですよ。彼の発言からすれば、そんなの建て前だと言うんでしょうけどね」

 もし軍隊と性に関して制度上支援するとすれば、さし迫っては結婚しやすくする制度が必要だという。特に海上自衛隊員はいったん海に出れば、一定期間は戻れない。それゆえに、交際中の女性を失う話題には事欠かないからだ、と‥‥。