ビデオ・ザ・ワールドが見た“AV30年盛衰史”(1)辛辣レビューに「田舎へ帰れ」 ツイート 2013/06/04 老舗のAV雑誌「ビデオ・ザ・ワールド」が5月8日発売の6月号で、休刊となった。83年11月の創刊から数えて、30年。黎明期からアダルトビデオをウオッチし、表裏問わず積極的に取り上げ、数々の名物企画を生み出した。そんな舞台裏の秘話を関係者の証言を交えて、「アダルトビデオの時代」を振り返る。 1983年11月に産声を上げた「ビデオ・ザ・ワールド」(コアマガジン刊)=以下「ワールド」=。くしくも30年目に、その幕を閉じることになった。現存する月刊アダルト誌としては、最も歴史の長い雑誌だった(隔月誌では81年創刊のサン出版発行「性生活報告」がある)。 その休刊を惜しむ声は、AV業界内外から伝わってきた。AV監督のカンパニー松尾氏はツイッターのつぶやきで、「コアマガジンのAV情報誌『ビデオ・ザ・ワールド』が休刊となりました。時代の流れとはいえ、唯一批評性があっただけに残念です。悔しいです。ワールドが一つの指針であり、ワールドに評価されたくて撮ってた時期もありました。無念です」 松尾氏の言うように「ビデオ・ザ・ワールド」は、みずからの批評性を貫き、他のAV情報誌とは一線を画した姿勢で独自のポジションを築いていた。 特に創刊当時からの名物AVレビューコーナー「チャンネル」は圧巻だった。単なる差し障りのない内容紹介に終わりがちな他誌のAVレビューとは違い、「手抜きの演出のみが目立つ仕上がりであった」「こんな作品をいつまでも作っていると、お客が怒って何するかわからないよ」「高校の学園祭でももうちっとましな演劇するぜ」などと、駄作は容赦なく切り捨てた。 その一方で、名作と認めた作品に関しては、まったく売れ線とは無縁であっても「変化球作品の多い中で、久々にビシっと決まった豪速球作品の誕生」「天才二人の名作」「本作の私小説のような味わいは彼のしたたかさと強さの証明である」などと称賛を惜しまなかった。「ビデオ・ザ・ワールド」の初代編集長であり、現在は、発行元のコアマガジンの代表取締役社長である中沢慎一氏によれば、AV作品のレビューは、ライターの自由に任せる方針だったという。「ライターには、『何を書いてもいい』と言ってました。もらった資料で当たり障りのない紹介文を書くのはつまらないと思ったので、見たまんまの感想を書いてもらったんです。ライターによっては辛辣すぎる書き方になることもあって、メーカーや監督に怒られることも多かったですよ。『田舎へ帰れ』とかね(笑)。だから、こちらとしては、サンプルを借りる時に、『うちはライターが好き勝手に書きますよ』と言ってましたね。『それが嫌だったら貸してくれなくて結構です』って。だから、誌面に掲載されていないメーカーもありましたね」◆フリーライター 安田理央 タグ: これがテレクラ!即アポ娘,コアマガジン,ソフト・オン・デマンド,ビデオ・ザ・ワールド,歌舞伎町,美里真里,裏ビデオ,週刊アサヒ芸能 2013年 6/6号 エリア選択 北海道 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島 茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川 新潟 富山 石川 福井 山梨 長野 岐阜 静岡 愛知 三重 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 鳥取 島根 岡山 広島 山口 徳島 香川 愛媛 高知 福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄 韓国 [宮城県] [茨城県] [石川県] [茨城県] [宮城県] [鹿児島県] [山口県] [北海道] [東京都] [愛媛県]
老舗のAV雑誌「ビデオ・ザ・ワールド」が5月8日発売の6月号で、休刊となった。83年11月の創刊から数えて、30年。黎明期からアダルトビデオをウオッチし、表裏問わず積極的に取り上げ、数々の名物企画を生み出した。そんな舞台裏の秘話を関係者の証言を交えて、「アダルトビデオの時代」を振り返る。
1983年11月に産声を上げた「ビデオ・ザ・ワールド」(コアマガジン刊)=以下「ワールド」=。くしくも30年目に、その幕を閉じることになった。現存する月刊アダルト誌としては、最も歴史の長い雑誌だった(隔月誌では81年創刊のサン出版発行「性生活報告」がある)。
その休刊を惜しむ声は、AV業界内外から伝わってきた。AV監督のカンパニー松尾氏はツイッターのつぶやきで、
「コアマガジンのAV情報誌『ビデオ・ザ・ワールド』が休刊となりました。時代の流れとはいえ、唯一批評性があっただけに残念です。悔しいです。ワールドが一つの指針であり、ワールドに評価されたくて撮ってた時期もありました。無念です」
松尾氏の言うように「ビデオ・ザ・ワールド」は、みずからの批評性を貫き、他のAV情報誌とは一線を画した姿勢で独自のポジションを築いていた。
特に創刊当時からの名物AVレビューコーナー「チャンネル」は圧巻だった。単なる差し障りのない内容紹介に終わりがちな他誌のAVレビューとは違い、「手抜きの演出のみが目立つ仕上がりであった」「こんな作品をいつまでも作っていると、お客が怒って何するかわからないよ」「高校の学園祭でももうちっとましな演劇するぜ」などと、駄作は容赦なく切り捨てた。
その一方で、名作と認めた作品に関しては、まったく売れ線とは無縁であっても「変化球作品の多い中で、久々にビシっと決まった豪速球作品の誕生」「天才二人の名作」「本作の私小説のような味わいは彼のしたたかさと強さの証明である」などと称賛を惜しまなかった。
「ビデオ・ザ・ワールド」の初代編集長であり、現在は、発行元のコアマガジンの代表取締役社長である中沢慎一氏によれば、AV作品のレビューは、ライターの自由に任せる方針だったという。
「ライターには、『何を書いてもいい』と言ってました。もらった資料で当たり障りのない紹介文を書くのはつまらないと思ったので、見たまんまの感想を書いてもらったんです。ライターによっては辛辣すぎる書き方になることもあって、メーカーや監督に怒られることも多かったですよ。『田舎へ帰れ』とかね(笑)。だから、こちらとしては、サンプルを借りる時に、『うちはライターが好き勝手に書きますよ』と言ってましたね。『それが嫌だったら貸してくれなくて結構です』って。だから、誌面に掲載されていないメーカーもありましたね」
◆フリーライター 安田理央