ビデオ・ザ・ワールドが見た“AV30年盛衰史”(2)田中康夫氏もライター志願した ツイート 2013/06/05 そして、賛否両論が掲載されている編集姿勢こそが「ビデオ・ザ・ワールド」のビデオ評はおもしろいとの評判につながっていく。「ビデオ評も署名原稿でしたから、書くほうも覚悟が必要だったと思います。ほめる分には何も言われないけれど、批判するにはちゃんとした見方がないとキツイですよね。誰が書いたか向こうにもわかりますから」(中沢氏) レビュアーの中には、現在、作家として活躍している本橋信宏氏、評論家の永山薫氏、最近ではラジオのパーソナリティも務める藤木TDC氏、ベストセラー「名前のない女たち」などで知られる中村淳彦氏ら、才能ある執筆陣が筆を競っていた。AVライターにとって、「チャンネル」で書くというのは憧れであった。田中康夫氏が「チャンネル」のライターになりたいと申し出たこともあったらしい。 AVライター沢木毅彦氏も91年より休刊に至るまで「チャンネル」に参加した。「あまりにも単体女優のことを知ってるライターがいないからということで声がかかったみたいです。僕は女の子が好きだったから」「ビデオ・ザ・ワールド」の辛口なビデオ評は業界でもよく知られていた。「メーカーに行って名刺出すと、『ワールド』で名前を見てるらしくて『いつも辛口評ありがとうございます』って嫌みを言われましたよ。僕はあんまり辛口なことは書かなかったんだけど(笑)。でも、やっぱりそれだけ読まれているわけでレビュー書くにも気合いが入りますよね。他のAV誌だと、女の子を紹介してストーリー書かないといけなかったけど、『ワールド』は制約はまったくなかった。一つのコラムとして書いてましたね。読み物としておもしろいように意識していました」 また「チャンネル」のライター陣が選ぶ年間ベスト「アダルトビデオリアルベスト10」も名物企画だった。 ライターたちが合議して順位を決めるのだが、興味深いのは、他のライターの候補作を見て、それからもう一度順位を考え直すというシステムだ。「何しろAVは本数が多いから、ライターが1年に見られるのは、全体の一部にすぎないですからね。しかも本誌で扱っていない作品をあげてもよかった。それどころかAVじゃない作品を候補にあげてもいいとまで言われましたよ。でも、年末の忙しい時期に、大量の作品を見なくちゃならないので大変でした」(前出・沢木氏) この「リアルベスト10」はライターが本当におもしろいと思った作品を選ぶという趣旨のため、売り上げや人気とはまったく違った結果になることがほとんどだった。 例えば94年のリアルベスト10では、1位が「これがテレクラ!即アポ娘」(監督:カンパニー松尾)。2位が「便器が出るテレビ」(監督:高槻彰)、3位が「ウンゲロミミズ」(監督:井口昇)である。人気女優の出ている作品は一本もない。 ちなみに同じ年の「オレンジ通信」では1位が「爆乳ダイナマイト 美里真里」、2位が「プリズム 坂巻かおり」、3位が「AVアイドル伝説 憂木瞳」となっている前出の中沢氏が言う。「あまりに流行とかけ離れているという批判もあったけれど、我々はこんな作品をいいと思っているというベストテンですからね。これが正しいというつもりはないです。むしろ他のビデオ雑誌も自分のところがいいと思うベストを選ぶべきなんですよ。でも、実際はそんなにAVを一生懸命見ていないということなんでしょうね。AVはヌクためのものだという考え方が一般的ですけれど、そうじゃない部分に情熱を持って作っている人もいる。AVの可能性を考えている監督もいる。そういう人を応援したいという気持ちもありました」◆フリーライター 安田理央 タグ: これがテレクラ!即アポ娘,コアマガジン,ソフト・オン・デマンド,ビデオ・ザ・ワールド,歌舞伎町,美里真里,裏ビデオ,週刊アサヒ芸能 2013年 6/6号 エリア選択 北海道 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島 茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川 新潟 富山 石川 福井 山梨 長野 岐阜 静岡 愛知 三重 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 鳥取 島根 岡山 広島 山口 徳島 香川 愛媛 高知 福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄 韓国 [熊本県] [東京都] [東京都] [岐阜県] [岐阜県] [新潟県] [北海道] [神奈川県] [北海道] [茨城県]
そして、賛否両論が掲載されている編集姿勢こそが「ビデオ・ザ・ワールド」のビデオ評はおもしろいとの評判につながっていく。
「ビデオ評も署名原稿でしたから、書くほうも覚悟が必要だったと思います。ほめる分には何も言われないけれど、批判するにはちゃんとした見方がないとキツイですよね。誰が書いたか向こうにもわかりますから」(中沢氏)
レビュアーの中には、現在、作家として活躍している本橋信宏氏、評論家の永山薫氏、最近ではラジオのパーソナリティも務める藤木TDC氏、ベストセラー「名前のない女たち」などで知られる中村淳彦氏ら、才能ある執筆陣が筆を競っていた。AVライターにとって、「チャンネル」で書くというのは憧れであった。田中康夫氏が「チャンネル」のライターになりたいと申し出たこともあったらしい。
AVライター沢木毅彦氏も91年より休刊に至るまで「チャンネル」に参加した。
「あまりにも単体女優のことを知ってるライターがいないからということで声がかかったみたいです。僕は女の子が好きだったから」
「ビデオ・ザ・ワールド」の辛口なビデオ評は業界でもよく知られていた。
「メーカーに行って名刺出すと、『ワールド』で名前を見てるらしくて『いつも辛口評ありがとうございます』って嫌みを言われましたよ。僕はあんまり辛口なことは書かなかったんだけど(笑)。でも、やっぱりそれだけ読まれているわけでレビュー書くにも気合いが入りますよね。他のAV誌だと、女の子を紹介してストーリー書かないといけなかったけど、『ワールド』は制約はまったくなかった。一つのコラムとして書いてましたね。読み物としておもしろいように意識していました」
また「チャンネル」のライター陣が選ぶ年間ベスト「アダルトビデオリアルベスト10」も名物企画だった。
ライターたちが合議して順位を決めるのだが、興味深いのは、他のライターの候補作を見て、それからもう一度順位を考え直すというシステムだ。
「何しろAVは本数が多いから、ライターが1年に見られるのは、全体の一部にすぎないですからね。しかも本誌で扱っていない作品をあげてもよかった。それどころかAVじゃない作品を候補にあげてもいいとまで言われましたよ。でも、年末の忙しい時期に、大量の作品を見なくちゃならないので大変でした」(前出・沢木氏)
この「リアルベスト10」はライターが本当におもしろいと思った作品を選ぶという趣旨のため、売り上げや人気とはまったく違った結果になることがほとんどだった。
例えば94年のリアルベスト10では、1位が「これがテレクラ!即アポ娘」(監督:カンパニー松尾)。2位が「便器が出るテレビ」(監督:高槻彰)、3位が「ウンゲロミミズ」(監督:井口昇)である。人気女優の出ている作品は一本もない。
ちなみに同じ年の「オレンジ通信」では1位が「爆乳ダイナマイト 美里真里」、2位が「プリズム 坂巻かおり」、3位が「AVアイドル伝説 憂木瞳」となっている前出の中沢氏が言う。
「あまりに流行とかけ離れているという批判もあったけれど、我々はこんな作品をいいと思っているというベストテンですからね。これが正しいというつもりはないです。むしろ他のビデオ雑誌も自分のところがいいと思うベストを選ぶべきなんですよ。でも、実際はそんなにAVを一生懸命見ていないということなんでしょうね。AVはヌクためのものだという考え方が一般的ですけれど、そうじゃない部分に情熱を持って作っている人もいる。AVの可能性を考えている監督もいる。そういう人を応援したいという気持ちもありました」
◆フリーライター 安田理央