“女性秘部の一生”はかくもはかない(2)どのように一生を終えるのか

“女性秘部の一生”はかくもはかない(2)どのように一生を終えるのか

2013/10/04

“女性秘部の一生”はかくもはかない(2)どのように一生を終えるのか

 公益社団法人日本産科婦人科学会の発表によれば、個人差が大きいものの、閉経の平均年齢は50歳だという。女性器はどう変移するのだろうか。前出・みつゆき院長はこう解説する。

「子宮そのものの大きさが小さくなり、膣も萎縮して短くなります。2~3センチほどの大きさがあった卵巣も閉経前と比べてやや小さくなり、卵管も細くなります。55歳を超えると、膣が萎縮し始める人もいます」

 若い女性の膣内には多くの分泌物が流れ、常に湿り気を帯びている。それが膣を雑菌から守り、潤いを与え続けてもいる。しかし、閉経後、分泌物は減少してしまう。

「若い頃は、ふだん膣口が閉じていて、トイレに行った時だけ膣口を開いて、尿と一緒に分泌物を出すよう調節しています。加齢で膣を締める筋力が衰退して、緩んだ膣口は開け閉めの加減ができなくなります。分泌物は、常に大量に膣外へ放出され、尿漏れに悩む女性も増えてきます」(前出・みつゆき院長)

 潤いを失ったことで、膣ばかりか外陰部も乾燥し萎縮する。この時期にセックスをすれば、性交痛を伴う。また、膣内に雑菌が繁殖することもあり、粘膜がただれたり、陰部にかゆみを発症する萎縮性膣炎になることもあるという。

 機能の後退と、外見の衰え──こうしたことから、性交を遠ざけがちになる女性は多いが、性交を長期間しないと、女性器の老化がますます進むと、みつゆき院長は語る。

「ピアスをしていると開けた穴の大きさがキープできるのと同様、定期的に性交をすることで、ある程度の大きさの膣を保つことができます。豊かな性生活は女性ホルモン分泌の刺激にもなりますから、女性のためにも、閉経後もセックスライフを充実させてください」

 苦痛を避けるためにローションやジェルを使用することをためらってはいけない。

「クリニックで購入するものの、男性に『使いたい』と打ち明けられず、行為前にトイレで忍ばせる女性が、男性が想像する以上に多いのです。男性側から準備してほしいですね」(前出・みつゆき院長)

 また、前出・喜田院長はHRTと呼ばれるホルモン補充療法を推薦する。死の直前までみずみずしさを失わなかった森光子も、利用していたとされている。

「医師の処方が必要ですが、即効性があり、更年期障害以前の状態に戻すことが可能です。膣壁の弾力が戻るので、体はもちろん、気持ちも柔らかくなります」

 では、女性器はどのように一生を終えるのか。前出・水谷院長が語る。

「60歳以降になると、まれに子宮本体が膣から飛び出てしまう『子宮脱』になる人がいます。子宮を支えている靭帯や筋肉が加齢や出産などの影響で伸びて、子宮が脱落してしまうのです」

 かくも、はかなく閉じる女性器だが、知れば知るほど深く交わりたくなるのではないだろうか。