【一杯酒場】　東京・神泉「詫助」

おでんの湯気がゆらゆらと、
王道酒場の魅力に身も心も温まる。

寒い季節になってくると俄然「おでんと熱燗で一杯」をやりたくなることに異存のある酒飲みは少ないだろう。そんな時、最高なのがここ「詫助」。もともと20年以上の歴史を持つ店だったが店主の事情により続けられなくなり、あわや閉店というところを現在の大将と女将さんが引き継いで、そこから14年。店名もそのままに存続が決まった時は、関係者も常連も大いに二人に感謝したという。

ほわっと暖かい店内にはおでんの湯気が充満。外を見ればゆらゆらゆれる赤提灯の先を電車が横切り、BGMは演歌。こんなにシチュエーションの揃った店も珍しい。名物のおでんは大将特製の毎日食べても飽きない味付けで、ほんのり甘く、しっかりダシが香り、じわりと滋味が身体に染み込んでゆくようだ。

旬の素材を使った一品料理も幅広く、「北の華」はここだけのオリジナル。ねっちりとしたジャガイモ団子の中に甘味噌が閉じ込めてあり、上品な餡には柚子と三つ葉が香る。そして誰もが驚く圧巻のメニューが、直径30センチはあろうかという巨大な「五目かき揚げ」。サクッと軽くて思いのほか食べやすいが、残れば包んでもらうこともできるので安心して頼んでみよう。日本酒は色気と渋さをあわせ持った「高清水」一本。そこがまた良い。

詫助
住所：東京都渋谷区円山町18-7
電話：03-3496-4136
営業時間：月～土17:00～23:00
定休日：日、第1・3・5土