貧困女子たちが最後にすがった「肉欲奉仕労働」の哀歌を訊け! vol.1 「この子が1歳になるまでは」

貧困女子たちが最後にすがった「肉欲奉仕労働」の哀歌を訊け! vol.1 「この子が1歳になるまでは」

2016/06/14

貧困女子たちが最後にすがった「肉欲奉仕労働」の哀歌を訊け! vol.1 「この子が1歳になるまでは」

女性の社会進出をうたいながら、激増する「貧困女子」たちが、最後にすがるのが性風俗産業だ。日々の糧を得るため「奉仕労働」に向かう女性たち。「こんな私に誰がした」─涙もかれ果て、ただ生きるためだけに、自分の肉体で稼ぐ「最貧困女子」がルポで浮かび上がる。奏でられるその「哀歌」を訊け!


今やアベノミクスを「成功」と称賛するのは、安倍晋三総理ただ一人。何も生み出さない経済政策が、唯一生み出したのが「格差」である。ここ数年は、都市部を中心に「働いても経済的に困窮するようになった女性たち」─「貧困女子」の増加が問題となっている。風俗嬢のセカンドキャリア支援などを行っている、一般社団法人「Grow As People」の代表理事・角間淳一郎氏はこう分析する。

「例えばシングルマザーの場合、子供を保育園に預けるにしても24時間ずっとというわけにはいきません。自治体の支援にしても、それだけで何もせずに暮らしていけるほど、お金はもらえない。風俗店というのは、自分の都合によって時間の切り売りが可能な職場であり、それが彼女たちにとって重要なことなのです」

以前なら楽に大金を得られると見られていたセックス産業。現在では、女性が生き残るための〝最後のトリデ〟となっている。

渋谷のデリバリーヘルス「乳パラダイスDX」(03-5784-5805)で働くあきさん(28)は、貧困にあえぐシングルマザーの一人。今年1月に第1子を出産したが、妊娠は2度目である。

「両方とも当時同棲していた彼の子供です。1度目は『堕ろしてくれ』と言われ、私の両親から『次は責任を取ってくれ』と固く言い渡しました。でも、2度目の今回も逃げるばかり。大ゲンカして別れて、実家に身を寄せたんですが、両親は自己破産をしているので、金銭的に頼るわけにもいかなくて‥‥貯金が10万円を切った時に、このお店で働くことにしたんです。週4日働いて月に約30万円くらい。正直、助かっています」

同店は「母乳・妊婦専門」が特徴で、キャストは全員、妊娠中か授乳期である。他店にない福利厚生があり、それもあきさんが働き先として選んだ一因だった。

「このお店の待機部屋は、託児所になっていて、女の子が働いている間、ベビーシッターさんが赤ちゃんを見ていてくれるんです。それはすごく大きいです」

同店店長は、「託児所はともかく、ベビーシッターまで雇っている店は少ない」と語る。取材場所となったのはその託児所。簡素な部屋だがベビーベッドが置かれ、生後半年に満たない彼女の長男が眠っていた。

「この子が1歳になったら保育所に預けて昼の仕事をするつもりです。じゃないと子供の生活のリズムが他の子と違ってきちゃってかわいそうだし。だからそれまでは、ここにお世話になろうかなと思ってます」

赤ちゃんのためのおっぱいを男に与え、育児費用を稼ぐことには若干の後ろめたさがないわけではない。ただ、現状ではそうしないと母子が生きられない。

「幸いにしてお乳の出はいいんです」

そう言いながらあきさんは、おなかが空いたとむずかる我が子を、たっぷりの母乳で満足させていた。