風俗嬢の意外な「セカンドキャリア」物語! 「夢と自信と明るい未来を」

夜ネタ

風俗嬢の意外な「セカンドキャリア」物語! 「夢と自信と明るい未来を」

2016/12/02

風俗嬢の意外な「セカンドキャリア」物語! 「夢と自信と明るい未来を」

日本に30万人いると言われるセックスワーカー。大半が将来への不安を募らせる中、彼女たちのセカンドキャリアを支援する「専門転職サービス」が全国的な広がりを見せている。ある女性は過去を隠し、またある女性は風俗経験を武器に、新しい一歩を踏み出していく。意外な就職先と転職ドラマを追った。


風俗界で熟女ブームが叫ばれて久しいが、やはり月収100万円を超える大金を稼いでいるのは主に若い風俗嬢。一部の例外を除き、年を重ねるとともに稼ぎづらくなっていく現実がある。そうした将来への不安を払拭するため、現役風俗嬢たちが、〈風俗女子に夢と自信と明るいみらいを!〉

こんなモットーを掲げて今年6月に設立したのが、「日本風俗女子サポート協会」だ。

「風俗の仕事をしているとどうしても孤独になりがち。表の社会で働く友人や学生時代の友達には言いづらいし、同じお店でも友達はできづらい。だから、まずは横の繋がりを作りたいと思い、この教会を立ち上げました」

とは、自身も10年の風俗勤務経験を持つ代表者のあや乃さん。

同協会は、風俗嬢を対象としたスキルアップ講座や、女子会などの交流イベントを開催している。

「風俗業界で働く他の女性たちがどんな考えを持っているかを知ることで、自分の世界も広がります。セカンドキャリアに関しても同じ。そのため、いつかやってくる〝風俗卒業の日〟に備え、将来の道をみんなと一緒に考えていきたいという女性が多いですね」(前出・あや乃さん)

同協会の女性たちはみな前向きに風俗の仕事と向き合っている。そのため、

「やっぱり将来は風俗業界で身につけたスキルや特技、人脈を活かしたい」

こう考える女性会員が少なくない。必然的に、彼女たちが思い描くセカンドキャリアは、「独立起業」という形になりがちだ。

「風俗嬢に技術を教える講師になりたいという女性や、ハーブについて勉強しているため、風俗嬢を癒やすセラピストになりたいという女性などがいます」(前出・あや乃さん)

しかし、いざ起業し、さらに成功させるとなると、経営の素人には至難の業だ。その点でも同協会はしっかりとサポート体制を整えている。

「自分一人の発想は限界がありますが、仲間たちと意見をぶつけ合うことで、より具体的に〝起業家像〟を思い描けるのではないでしょうか。また、必要があれば起業支援などを行っている外部のコンサルタント会社も紹介しています」(前出・あや乃さん)

メンズエステプロデューサーの肩書きを持ち、「No.1風俗店長が極めた 女性にキモチよく働いてもらうマネジメント術」(こう書房)などの著書があるモリコウスケ氏もまた、風俗嬢の独立起業をサポートしている。

「これまで起業したいなどモチベーションの高い女性に対してセカンドキャリアについてのアドバイスを行ってきましたが、風俗などの夜の仕事で経験したスキルや処世術は、昼の仕事の場面でも活かしていけるものです」

風俗の世界では、どんな男性客が来ても、イヤな顔をせずに接し、時にはうまくあしらわなければならない。そのメンタルはサービス業で大きな強みになるという。

今回取材した38歳のソープ嬢、A子さんも独立開業を目指す1人。それまで貯めてきたお金を元手に、ネイルサロンを開こうと思いたち、資格の取得を決意。筆者にこんな抱負を語っていた。

「友達の風俗嬢に『ネイルの実験台やってくれない?』とお願いすると、みんな喜んでやってくれる。その時に、『ネイルサロン開くんだ』みたいな話をするでしょ? それから『友達価格にするから、ぜひ来てね』なんてPRしておけば、そのうちの何人かは来てくれるんじゃないかなって。ネイルをするのは夜のお仕事系の女の子が多いから、営業もやりやすいなと密かに思いましたね」

確かに、身の回りのニーズを取り込むことも重要だろう。

しかし、前出のモリ氏はこうアドバイスする。

「起業する場合は、自分の強みを活かせる市場で戦うことが大切。ただし、ネイルサロンなどのように、すでに多くの女性が起業しているジャンルは避けるべきかもしれません。なるべく競合が少ない商売を選ぶことも成功の条件といえるでしょう」(前出・モリ氏)

モリ氏が推奨する「商売」は、家事代行サービスや婚活アドバイザーを始め、顧客と食事をしたり映画を鑑賞することで擬似恋愛を楽しんでもらう「レンタル彼女」など多岐にわたる。なかでも新鮮だったのが、男性専用のブラジリアンワックス店。いわゆるアンダーヘアの脱毛を売りにした男性向けのサロンだ。もちろん風俗的なサービスは提供していない。ただし、性器の周辺や肛門まわりなど特殊なパーツに施術しなくてはならず、一般的なエステの経験しかない女性には少々ハードルが高くなる。その点、風俗を経験していればお手の物というわけだ。

「欧米ではすでに一般的ですが、ビキニラインを整えたいという美意識の高い男性は国内でも年々増えています。また、脱毛後から4週間ほどすれば再び毛が伸び始めてくるので、リピート客が見込めるのも、この商売を推薦する理由です」(前出・モリ氏)

元風俗嬢だからこそできる仕事は世の中にたくさんあるようだ。

とはいえ、起業組はあくまでも少数派。好きでもない異性に体を許し、心をすり減らしながら働く風俗嬢にとって、

「ゆくゆくは風俗の世界から足を洗って普通の会社に勤めたい」

というのが正直な気持ちだろう。実際、こうした風俗嬢の「転職支援サービス」は全国的な広がりを見せている。今回、訳あって取材はかなわなかったが、関西地方にある支援団体はこれまで1万人以上の風俗嬢をサポートしたという。

また、特筆すべきは風俗業界でもセカンドキャリアの支援に取り組み始めたことだ。ある風俗サイト運営会社のスタッフB氏が言う。

「ちょうどAV界で出演強要問題が噴出した頃から、女の子の労働状況を変えようという動きが顕著になりました。すでに大手では、年金や税金の相談窓口をもうけ、女の子は無料で利用できるなどの福利厚生システムを取り入れ始めているそうです。セカンドキャリアの相談事業もその一環。実際、うちの会社にWebデザイナーとして転職してきた女の子は、ある店舗で働いている時に、IT関係の技術習得のために、無料スクールに通わせてもらったと話していました」

一般企業に就職する際、どうしても足かせとなるのが風俗勤務の経歴だ。

「風俗店の中には、退職後も店のサイトから本人の顔写真を消さないという悪質なケースもある。そのような場合、代理人として写真を削除するように交渉してくれる支援グループもあります」(前出・B氏)

こうした支援を受けて、IT企業に就職したのがC子さん(27)だ。ただ、彼女の場合はこれまで風俗と就職を何度も繰り返している。その事情を聞くと、

「IT業界は人の出入りが激しくて転職も多い。だから新しい会社に入るまで数カ月空いていても、特に突っ込まれることはありません。あまり大きな声では言えないけど、退職を決めてから有給休暇を消化中に風俗で働くこともあった。仕事を辞めても当面は食べていけるから、精神が病むまで会社にしがみつくこともないし、求職中も早く次を探さなきゃというプレッシャーを感じなくて済みますから」

一方、夜の世界とスッパリと縁を切ったのはD美さん(28)だ。高校を卒業して10年あまり、ずっと風俗で働いてきた彼女は、今春から雑貨を輸入する商社に勤めている。

「昔から漠然と正社員になりたい気持ちがあって‥‥。でもお昼の仕事は今回が初めて。でも、この会社ならずっと働けるって自信があります」

社員はわずか10名ほどで、主にアジアやアフリカの雑貨を扱っているせいか、バックパッカーをしていたような珍しい経歴を持つ人もいて、社風はかなり自由である。

彼女が今でも忘れられないのは面接の時のやりとりだ。

「今まで何していたの?」

一対一の面接で社長に聞かれたD美さんは一瞬とまどった。

「最初はコンビニでバイトとか‥‥適当にごまかそうと思ったのですが、その時になって、なんだか噓をつくのはよくないと思って、『実は風俗で働いていました』と正直に言ったんです。これでダメだったら仕方ないやと思っていたんですが、社長が、ワハハと大きな声で笑い始めて。『おもしろいねえ、きみ。そんなこと正直に言う人、初めて見たよ』と。これが功を奏して採用になったんです」

何の後ろめたさも抱かずに、次の一歩を踏み出した幸運なケースかもしれない。

イタリアと日本を行き来するE子さん(36)もまた、人の縁に救われた1人だ。彼女が働くのは、主に繊維を扱う貿易会社。高級デートクラブ時代の常連客のツテで入社したという。

「最初は常連さんが経営しているファッション関連の会社に縁故採用という形で就職したんです。そこでいろいろと業界に人脈ができてから、現在の会社に空きがあると聞いて移ったのがごく最近のことです」

彼女が成功を収めたのは、高収入を稼いでいた風俗嬢時代から自分磨きを怠らなかったからだという。

「普通のOLさんの何倍も稼いでいたけど、暇を見ては海外旅行に出かけて現地のファッションの流行や知識を吸収したり、カラーコーディネーターの資格を取ったりしていました」

持ち前の明るさに加え、うまく男性を立てる技術も身につけていたことから、接待時にはとても重宝されたそうだ。

「イタリア支社ができた際には、真っ先に駐在社員として立候補しました。あとは、30 代のうちに子どもをもてたらうれしいですね」

現在交際中のイタリア人の恋人は、E子さんの過去を知らないという。

シングルマザーのF美さん(46)は、現在、パン教室で講師をしている。清楚な外見からは、かつて風俗店で働いていた過去など想像できない。

「高校を卒業後、公務員になり、勤務先で出会った男性と結婚したのですが、DVが原因で子連れ離婚しました。その際、生活に困って業界に足を踏み入れたのですが、M性感でアナル責めや回春マッサージというテクニックを身につけて、そこそこ指名もいただいて、それこそ『芸は身を助く』を実感したんです」

風俗で稼ぎながら一児を育てるうち、幸いにも再婚相手が見つかり、あくせく働く必要もなくなった。

「もともと手先を使う仕事が好きだったんでしょうね(笑)。実は風俗の仕事をしながらいろいろな資格を取っていたのですが、結局、パンを作るのが性にあっていたようで、みるみる上達していったんです」

現在は〝手に職〟の大切さ、そして楽しさを改めて実感しているという。

執筆業を目指す風俗嬢も少なくない。元デリヘル嬢のG子さん(38)は、ライター講座に通い、業界で人脈作りにいそしんだ。

「何か仕事を紹介してもらえるかもしれないと思って、飲み会などにも参加したんです。でも、なぜかみんな肉体関係を持とうとしてきて‥‥。『きみはセンスあるから』なんて、しつこく言い寄ってきて、セフレみたいな関係になるだけで、全く仕事に結びつかない。そんなことが何度も続いて諦めました」

逆に、風俗勤務で養われた愛想のよさが仇となるケースも見受けられるが、それにしても現在、国内のセックスワーカーは約30万人とも言われている。「風俗経験」をチャンスと捉えるか、消せない過去と捉えるかは彼女たち次第かもしれない。