山口健治の“江戸”鷹の目診断「充実一途、菊地のチャンス十分!」

山口健治の“江戸”鷹の目診断「充実一途、菊地のチャンス十分!」

2013/05/30

山口健治の“江戸”鷹の目診断「充実一途、菊地のチャンス十分!」

 戦法の転換は先行型から追い込み型になるのが普通で、先行に戻す選手は珍しい。脚力と勇気がなければできないチャレンジだ。

「函館記念」【5月31日(金)~6月3日(月)】に出走予定のS級S班は、村上義弘岡田征陽佐藤友和成田和也の4人。S1には松山全日本選抜覇者の平原康多をはじめ、根田空史稲川翔ら強力な機動力型がそろう。岸和田「高松宮記念杯」(6月13日~16日)の前哨戦にふさわしい4日間になりそうだ。

 地元期待の菊地圭尚の充実ぶりが目を引く。立川ダービーで2度目のGI決勝戦に乗り(8着)、賞金ランキングも1932万円で14位(5月23日現在)。わずか5カ月で去年の獲得賞金2398万円を上回りそうな勢いだ。

 活躍の一因は再び自力でも戦うようになったからではないか。自在型ではあるが、目標がなければ先行も辞さない積極性が潜在能力を引き出したわけだ。今回は地元記念。好位を回れるだけに優勝のチャンスは十分ある。

 また、平原がそろそろ本領を発揮しておかしくない。全日本選抜以降、平原らしくないレースが続いていたが、09年、10年に高松宮記念杯を2連覇しているように、調子を上げてくる時期。まずは初日のレースに注目したい。

 さて、並びと展開。地元地区は佐藤友─菊地─成田で折り合いそうだ。関東は手薄で、平原は単騎、南関東は根田─新田康仁と見た。

 西日本は近畿が稲川─村上義、九州は井上昌己園田匠。そして、金子貴志には同期の堤洋がつけ、その3番手は岩津裕介か。他では飯野祐太と、近況、調子がいい伊勢崎彰大の進出もある。

 主導権を取るのは根田。近畿ラインと平原が中団をうかがい、佐藤友は早めに巻き返すことになる。

 ◎佐藤友=○菊地。飯野がラインに加わるようなら、さらに有利になる。3番手評価は村上義と平原。レース巧者で動ける2人、逆転も十分ある。

 伏兵は中村美千隆(兵庫・80期)、森田康嗣(北海道・89期)、原田研太朗(徳島・98期)の3選手。

 中村と地元の森田は、まくりが持ち味。予選と負け戦で。

 S1級の競走得点を持っている原田は、準決勝を突破しておかしくない。人気になりそうなだけに1着から相手をしぼって狙いたい。

 

◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。