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ビデオ・ザ・ワールドが見た“AV30盛衰史”(11)動画じゃないと物足りない | アサ芸風俗

ビデオ・ザ・ワールドが見た“AV30盛衰史”(11)動画じゃないと物足りない

ビデオ・ザ・ワールドが見た“AV30盛衰史”(11)動画じゃないと物足りない

2013/06/20

ビデオ・ザ・ワールドが見た“AV30盛衰史”(11)動画じゃないと物足りない

 00年代中頃から、エロ雑誌に一つの大きな変化が訪れている。付録にDVDを付ける雑誌が急増したのだ。00年代後半には、DVDが付いていない雑誌を探すほうが難しいくらいになっていた。

 そうした波はAV誌にも押し寄せた。前述の「月刊DMM」や「NAO DVD」は200円台、300円台という低価格にもかかわらず、DVD付きという戦略で従来のAV誌と差をつけた。

 08年頃からは、1つのメーカーの映像や写真だけで編集したDVD付きムックが人気を集めた。メーカー本、あるいは最初にその手法でヒットを飛ばしたメーカーの名前にちなんで「プレステージ本」と呼ばれるこれらのムックは、1000円台の低価格で1~2枚のDVDが付いてくるということで、コンビニを中心に爆発的な売れ行きを見せた。

 メーカーから借りた素材で全てを構成するために、制作費は安く済み、好調な売れ行きを見せるということで、業績不振にあえぐエロ本出版社は、一斉にこのメーカー本に飛びついた。

 例えば09年に三和出版から発売された「プレステージ 絶対素人まるごとDVD」を見てみると、付録として180分収録のDVDが2枚。しかも製品DVDと同じケースに入っているのだ。その一方で、本誌のほうはといえば、わずか60数ページ。こうなると、本そのものは、AVのパッケージのようにも思えてくる。

 ユーザーは安くDVDを買うつもりで、この手の本を買うのだろう。もはや雑誌ではなく、雑誌流通で販売されるAVなのだ。

 当時、とあるエロ雑誌の編集者が「僕らもオナニーする時は、AV見ますからね。動画じゃないとヌケないですよ」と言っていたのが印象深い。作っている本人たちが、それを認めているのだ。

 このDVD付録の浸透は紙の誌面ではもうエロ雑誌は作れないという敗北宣言であったように思える。

 このまま、AV雑誌は消えてしまうのだろうか?

 だが、「月刊DMM」の大木編集長は、まだまだ読者はいなくならないと見ている。

「ネットをやらない人って意外に多いんですよ。特に地方にはまだまだいる。そういう人たちのために作り続けなくちゃいけないと思いますね。あと10年くらいはもつんじゃないかな」

 一方、「ビデオ・ザ・ワールド」の中沢慎一元編集長はネットに可能性を見いだす。

「これから新規にAV雑誌をやるのは難しいでしょうね。広告収入を当てにして作らないと無理だと思う。メーカーが広告を出したいと思うような雑誌にしないといけない。そうなるとネットのほうが可能性があるかもしれない」

 AV監督のカンパニー松尾氏も、ネットでの新しいAV批評に期待している。

「AV雑誌が次々と休刊している現状は寂しいですがしょうがないと思います。時代の流れです。ただ、ネットでは新しい批評や、『WEBスナイパー』のような紹介サイトはあります。だから『ビデオ・ザ・ワールド』もうまくネットに移行してほしかったですね。一つのジャンルを見続けてきた経験と責任ある書き手が、誰にも邪魔されず、遠慮せず、その独自の視点で評価、批評する媒体があってほしい」

 松尾氏があげた「WEBスナイパー」は08年に休刊した老舗SM誌「SMスナイパー」のインターネットサイトで、SM物に限らずライターによるAVレビューを掲載している。また「メンズナウ」のように、AV誌で活躍していたライターたちが集結してAV女優インタビューやコラムを連載しているサイトもある。

 AVが多くの人々に愛されているかぎり、AV誌も形を変えて生き続けていくのである。

◆フリーライター 安田理央