「はだしのゲン」ここがヤバイ(2)問題の残虐有害シーンとは ツイート 2013/09/10 1945年5月、米軍の猛攻撃によって日本が血に染まる中、逃げ場を失った女性たちが子供を抱きかかえ、「天皇陛下バンザーイ!」と叫びながら次々と断崖絶壁から海へと身投げする。海から突き出た岩に落ちると、「グジャッ」という音とともに、血が噴き出すのだ。 沖縄では戦争に駆り出された学生が爆弾を抱きかかえて敵戦車に飛び込み、爆発に飲み込まれる状況が生々しく描かれる。そして追い詰められた女性や子供はここでも、米兵に捕まるくらいならと、輪になって集まり、手榴弾を爆発させて自害の道を選ぶ。そのコマに描かれるのは、腕や頭がちぎれて方々に吹き飛ぶ様だった。 そして8月6日、広島に原爆が投下される。あたり一帯が熱風に包まれ、建物が燃え盛る中、主人公の少年・中岡元〈げん〉が目にしたのは、驚くべき光景だった。 やけどで溶けてドロドロになった皮膚が顔や体中からダラリと垂れ下がったまま歩く人々のおぞましい姿。背中の皮膚がまるごとめくれ、尻からふんどしのように垂らして、幽霊のように両手を前に出して歩く人までいる。現代風に言えば、ゾンビのような風貌なのだ。またある者は、爆風で飛んできた無数のガラス片を全身に突き刺したまま、裸同然の状態でうめいている。元は叫ぶ。 「みんなおばけだ~っ。どうしたんじゃ、どうしたんじゃ」 元は壊れた家の下敷きになって動けなくなっている父親、姉、そして弟を母親とともに発見。積み重なる柱は重すぎて、どうしても助け出すことができない。やがてそこは火に包まれ、元の目の前で3人が音を立てて燃えていくのだ。 「ギギギ。あ‥‥あんちゃん‥‥」 生きたまま火がつき、黒コゲになって焼死する一部始終の描写である。 広島市内の救護所は皮膚ドロドロの原爆被害者であふれ返り、足が吹き飛んだ状態の人もいる。 負傷者をトラックの荷台に乗せて陸軍病院に運ぼうと、軍人が負傷者の両腕をつかんで引っ張り上げれば腐った状態の腕の肉がズルリと剥けて手首のほうにずれ、骨がまる出しに。いや、そればかりか、腹から腸が何メートルも飛び出した状態でフラフラと歩く人も‥‥。 もちろん、そこにはおびただしい数の死体が転がっている。焼け焦げ、あるいは溶けた状態で。 さらに目を覆いそうになるのは、黒コゲになって死んでいる息子の前で、母親が無数のハエの大群に包まれて喜んでいる場面。母親はあっけにとられる元に語りかけるのだ。 「ごらんよ、正太郎の体からウジがわいてハエになっていくだろう。あたしには『かあさん』『かあさん』といって正太郎がハエになってとびついてくるようで‥‥」 まさに原爆投下の地獄絵図、阿鼻叫喚の中で、茫然自失の人々が壊れていくのである。 川では被爆死した人々が浮かび、どれもが「ブスン」「ブスン」と妙な音を出している。腹が破ける音だった。元はつぶやいた。 「うわー、死体の腹がたいこのようにふくれとる‥‥。腹の中がくさってガスがふきだしているんじゃ‥‥。ううっ‥‥くさいのう」 タグ: はだしのゲン,原爆,松江市,週刊アサヒ芸能 2013年 9/12号 エリア選択 北海道 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島 茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川 新潟 富山 石川 福井 山梨 長野 岐阜 静岡 愛知 三重 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 鳥取 島根 岡山 広島 山口 徳島 香川 愛媛 高知 福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄 韓国 [北海道] [宮城県] [鹿児島県] [香川県] [宮城県] [石川県] [鹿児島県] [宮城県] [静岡県] [奈良県]
1945年5月、米軍の猛攻撃によって日本が血に染まる中、逃げ場を失った女性たちが子供を抱きかかえ、「天皇陛下バンザーイ!」と叫びながら次々と断崖絶壁から海へと身投げする。海から突き出た岩に落ちると、「グジャッ」という音とともに、血が噴き出すのだ。
沖縄では戦争に駆り出された学生が爆弾を抱きかかえて敵戦車に飛び込み、爆発に飲み込まれる状況が生々しく描かれる。そして追い詰められた女性や子供はここでも、米兵に捕まるくらいならと、輪になって集まり、手榴弾を爆発させて自害の道を選ぶ。そのコマに描かれるのは、腕や頭がちぎれて方々に吹き飛ぶ様だった。
そして8月6日、広島に原爆が投下される。あたり一帯が熱風に包まれ、建物が燃え盛る中、主人公の少年・中岡元〈げん〉が目にしたのは、驚くべき光景だった。
やけどで溶けてドロドロになった皮膚が顔や体中からダラリと垂れ下がったまま歩く人々のおぞましい姿。背中の皮膚がまるごとめくれ、尻からふんどしのように垂らして、幽霊のように両手を前に出して歩く人までいる。現代風に言えば、ゾンビのような風貌なのだ。またある者は、爆風で飛んできた無数のガラス片を全身に突き刺したまま、裸同然の状態でうめいている。元は叫ぶ。
「みんなおばけだ~っ。どうしたんじゃ、どうしたんじゃ」
元は壊れた家の下敷きになって動けなくなっている父親、姉、そして弟を母親とともに発見。積み重なる柱は重すぎて、どうしても助け出すことができない。やがてそこは火に包まれ、元の目の前で3人が音を立てて燃えていくのだ。
「ギギギ。あ‥‥あんちゃん‥‥」
生きたまま火がつき、黒コゲになって焼死する一部始終の描写である。
広島市内の救護所は皮膚ドロドロの原爆被害者であふれ返り、足が吹き飛んだ状態の人もいる。
負傷者をトラックの荷台に乗せて陸軍病院に運ぼうと、軍人が負傷者の両腕をつかんで引っ張り上げれば腐った状態の腕の肉がズルリと剥けて手首のほうにずれ、骨がまる出しに。いや、そればかりか、腹から腸が何メートルも飛び出した状態でフラフラと歩く人も‥‥。
もちろん、そこにはおびただしい数の死体が転がっている。焼け焦げ、あるいは溶けた状態で。
さらに目を覆いそうになるのは、黒コゲになって死んでいる息子の前で、母親が無数のハエの大群に包まれて喜んでいる場面。母親はあっけにとられる元に語りかけるのだ。
「ごらんよ、正太郎の体からウジがわいてハエになっていくだろう。あたしには『かあさん』『かあさん』といって正太郎がハエになってとびついてくるようで‥‥」
まさに原爆投下の地獄絵図、阿鼻叫喚の中で、茫然自失の人々が壊れていくのである。
川では被爆死した人々が浮かび、どれもが「ブスン」「ブスン」と妙な音を出している。腹が破ける音だった。元はつぶやいた。
「うわー、死体の腹がたいこのようにふくれとる‥‥。腹の中がくさってガスがふきだしているんじゃ‥‥。ううっ‥‥くさいのう」