“女性秘部の一生”はかくもはかない（１）年齢によって変化する「中と外」

　生物である以上、必ず老いは来る。女性器もまた年々確実に衰えていくという。時間が性器をむしばむ様を部位別に解説する。

「女房と畳は新しいほうがいい」

　こんなことわざが現代でも生きている。多くの男性はなぜ「若い」女性器に向かうのか──。理由の一端には“青い性器”の魅力的な姿があるようだ。前出・喜田院長に理由を聞いた。

「顔の皮膚と同じで、20代の女性器がいちばんいい状態だということを男性側が感じ取っているからかもしれません。その世代の性器は若さを保つためのコラーゲンが細胞の一つ一つに行き渡っていますから、膣内は厚みと弾力性がありフワフワです。しかも、最も膣の締まりがよく、膣内のヒダが多い年代でもあるため、男性は若い女性との性交を好むのでしょう」

　男性から好まれるからといって「若さ」にかまけることは注意しなければならない。20代でも膣機能の衰えが進んでいる女性が最近増えているからだ。

　膣から健全性を奪う主な要因は運動不足である。歩かないなど若い世代の生活習慣が骨盤周辺の筋力を弱め、膣の緩みを招くというのだ。前出・みつゆきみどり院長は、若い女性特有の「姿勢」も、膣の老化を進ませる一因だと語る。

「内股・O脚・猫背と三拍子そろった姿勢は、膣が開いたままの状態になります。この姿勢を続けて、『膣の締め方がわからない』と悩む人が増えているのです」

　若年層のファストフード利用率は高いが、そこからもたらされる肥満も膣を劣化させる。長時間の立ち仕事や便秘も、また同様の悪影響を与えるのだ。理由は骨盤周辺の筋肉の構造にあるという。

「女性器の入り口周囲には、子宮や膣を支える骨盤底筋という筋肉が張り巡らされています。肥満と立ち仕事によって内臓の重みを一手に引き受けて劣化し、便秘で力を入れると筋肉が部分断裂するおそれがあるからです」（前出・みつゆき院長）

　また、若さに任せて回数を競い合うような過剰なセックスは、摩擦によって膣壁からヒダを減少させるという。

　女性器の老化は、体の中にある膣機能だけにとどまらず、外見にも表れる。年を取ることで徐々に大陰唇が痩せ、中のビラビラ（小陰唇）が伸びてくるのだ。そして多くの女性器はゆっくり老いずに2つのインパクトによって劇的な変化を迎える。それは何か──今回取材した複数の医師たちは口をそろえて「出産と閉経」と断言する。

　厚生労働省が11年に実施した人口動態統計月報年計によれば、第一子出産の平均年齢は30.1歳。つまり、この年齢が女性器のファーストインパクトとなる。前出・みつゆき院長が説明する。

「出産によって膣の外側にある括約筋が断裂するため、膣の収縮力が低下して緩みが生じます。初産で膣内のヒダがなくなり、唇の裏側のようにツルツルになる女性もいます。出産未経験者は婦人科の診療台で脚を開いても膣が見えませんが、経産婦は小陰唇がパカッと開き、膣の中が見えるようになります」

　女性器に大きな変化をもたらすセカンドインパクトは閉経なのだが、この時期を前にして女体には更年期障害が起こる。子宮機能が閉じゆく過程で、外性器に起こる変化を前出・喜田院長が解説する。

「女性ホルモンの減少に伴い、大陰唇の脂肪が落ち始めて弾力がなくなり、大陰唇と小陰唇にシワが目立ち始めます。出産後よりもさらに膣の緩みが気になる人や、分泌物の減少を自覚する場合もあります」

　やがて、子宮は排卵を止める。閉経後の女性器にはいかなることが起こるのだろうか。