山口健治の“江戸”鷹の目診断「千葉記念」

山口健治の“江戸”鷹の目診断「千葉記念」

2013/10/17

山口健治の“江戸”鷹の目診断「千葉記念」

後閑が2段駆けから突き抜ける

 現役選手が弟子を育てるのは、競輪界のスタンダードでもある。

「千葉記念」(10月17日【木】~20日【日】)に出走予定のS級S班は、村上義弘、岡田征陽、佐藤友和、山崎芳仁の4人。立川ダービーを勝った村上義に加えて、S1から平原康多(松山全日本選抜)、金子貴志(弥彦寛仁親王牌)、後閑信一(京王閣オールスター)が参戦する。今年のGIウイナー5人中4人がそろう豪華メンバーで、少し気は早いが、年末の立川グランプリを占うには格好の一戦になりそうだ。

 ところで、この記念は滝澤正光杯と冠されている。かつてフラワーラインの私の盟友で、今は競輪学校長でもある滝澤の弟子が伊勢崎彰大。デビュー当時は将来を嘱望されながら伸び悩んだのは、決め手のなさによるところが大きい。しかし、追い込みのテクニックを磨き、直線のスピードもある。師匠の前でファイナル進出こそ恩返しだ。

 今年後半の主役をあげるとすれば、金子貴志だろう。青森記念では愛弟子・深谷知広の逃げを利して優勝しているが、深谷不在でも自力で活路を開いてきた。ふだんの努力のたまものであり、その背中を見てきたからこそ、深谷が育ったと言っていい。今回も間違いなく主役の一人だ。

 さて、並びと展開。地元は岩本俊介海老根恵太鈴木誠。関東は平原─後閑─岡田。北日本の佐藤友─山崎は、山崎の前回りもある。西日本勢は近畿の村上義─南修二と、吉本卓仁園田匠の福岡両者。他では伊勢崎と桐山敬太郎が圏内で、伊勢崎は千葉ラインの4番手、桐山は単騎戦選択もありそうだ。主導権は岩本が取り、500バンクだけに叩き合いにはなりそうにない。中団につけるのは平原、金子と佐藤友はまくりにかける。

 本命は後閑。平原との2段駆けから突き抜ける。調子のよさでは後閑と互角の金子が対抗。3番手評価は村上義で、動ける3者の争いと見た。

 伏兵は山賀雅仁(千葉・87期)、馬場和広(埼玉・98期)、小松崎大地(福島・99期)の機動力型3選手。地元の山賀は9月向日町記念2次予選1着で村上義に勝っている。実力はS1級だ。馬場と小松崎はそれぞれの師匠、太田真一岡部芳幸も参戦する。特に小松崎は千葉出身。6月函館記念、8月富山記念で予選突破しているだけに、ここも期待できる。

◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。