新手の「AV男優詐欺」被害者が明かした狡猾手口　「手コキ発射したら『契約違反』と30万円請求された

イイ女が抱けてギャラまでもらえるAV男優。男なら誰しも一度はやってみたい職業だが、そんなスケベ心につけ込んだ新手の詐欺がひそかに横行していた。

「手コキで発射したら『台本と違う! 契約違反だ』と、30万円もの損害金を請求されたんです」

憤慨気味に狡猾手口を明かすのは、「AV男優詐欺」にあった20代のA氏。きっかけは、今年初めにネット上で見つけたこんな書き込みだった。

〈AV男優急募。童貞歓迎。経験者不可。素人女性と初々しいセックスができる方のみご応募ください〉

男優バイトに興味があったA氏は、軽いノリで応募。記載されたアドレスに、氏名と年齢などの必要事項を送ると、数日後に「手配師」を名乗る男性から連絡が入り、書類審査で通過した旨を伝えられた。

「大手メーカーとつきあいがあることを強調していました。撮影日には必ず性病検査の診断書を持参するように念押しされたので、本物の現場だと信じきっていました」（A氏）

ギャラは交通費込みで1万円。A氏は電話で何度もこう釘を刺された。

「この業界は信用が第一。くれぐれも現場に迷惑はかけないでください」

撮影当日、指定されたホテルに行くと、監督やカメラマンら4名の男性スタッフが待機していた。監督は台本を渡すとこう告げた。

「お互い素人という設定で、リアルなセックスを売りにしているので、必ず膣内で射精してくださいね」

だが、少し遅れてやって来た“女優”は、いざカラミが始まると、素人らしからぬワザを繰り出した。

「フェラでアレを唾液まみれにすると、手でシゴき始めたんです。まるでノルマに追われるピンサロ嬢のようでした」（A氏）

射精してしまうと指示どおりに挿入ができない。A氏は女優の手を押しのけようとするが、執拗な責めにたまらず発射してしまう。

「まだイケるでしょう」

と、周囲のスタッフも寛容な姿勢を示したが、2発目も同様に“暴発”させると険悪な空気がたちこめた。

「ホラ、早く勃たせて」

監督にせかされ、何とか奮い立たせようとするが、周囲の冷たい視線も気になり、まるで勃ちそうにない。

「無理です。できません」

音を上げると、監督はA氏にこう告げた。

「もういいですよ。スタッフの日当と経費合わせて30万円、しっかり払ってください」

困惑するA氏に監督が畳みかける。

「あなたの代わりはいないんですよ。女優とスタッフのギャラにホテル代、納期が遅れたらメーカーへの違約金も払わなくちゃいけない。女優が大きな現場をトバしたら100万円なんてザラなんだから」

結局、A氏はホテル内のATMで現金を引き出して、監督に手渡した。

「以降、手配師に連絡をしたが、まったくつながらなかった。今考えると、客引きとボッタクリ店のような共犯関係だったのかもしれません」（A氏）

今年10月には、同様の手口で男優志望の男性から30万円を脅し取ろうとした20代の男女7人が詐欺未遂容疑で逮捕されている。

「ネットの掲示板やAVファンの交流サイトには、怪しい男優募集の告知がたくさん見受けられ、水面下で被害は増えているのかもしれません」（A氏）

キャリア5年の現役AV男優・くりぃみぃ氏が言う。

「現場未経験の男優が1対1で女優とカラミをすることはまずありえません。最初は交通費程度のギャラで汁男優から始めて、カラミができるまでに最低1年半はかかります」

業界に無知な素人男性がコロリとダマされるAV詐欺は、ますます多様化しているという。AVライターの大坪ケムタ氏によれば、

「男優の仕事を紹介するにあたって、高額な研修費を請求したり、『女優が性病にかかった』などの口実で金をむしり取るケースもあると聞いています」

AV男優に限らず、怪しい求人にはくれぐれも注意が必要だ。