【一杯酒場】 東京・吉祥寺「闇太郎」

【一杯酒場】 東京・吉祥寺「闇太郎」

2015/12/03

【一杯酒場】 東京・吉祥寺「闇太郎」

多くの若者達を一人前の酒飲みへと育て上げた、吉祥寺の良心。


まずは印象的すぎる店名の話だが、コピーライトの仕事をされていたご主人が、何十個もの候補から考え抜き、「これぞ!」というものに決めたそう。一度でも店の前を通れば頭にすりこまれ、その存在を忘れることができなくなってしまう理由は、きちんとあった。

開業してから43年。今でも全ての仕入れから調理、その他店のことをご主人ひとりでこなし、界隈で最も歴史の重みが蓄積された店といえる。シャッターに描かれた印象的な女性の絵は、江口寿史の作。店内は大友克洋が描いた絵や久住昌之の切り絵などが飾られており、ここは名だたる有名漫画家たちの隠れ家でもある。飄々として話好き、マナーに問題があれば、たとえ客であろうとピシャリと指摘する。しかしそのあとに見せる笑顔に、全員が惚れてしまう。そうやって一人前の酒飲みに育ててもらえる、ありがたい場所なのだ。

旨味濃くとろけるまぐろや刺身類は、寿司屋レベルのもの。鍋から魅惑的な湯気をあげるおでん、自家製のラッキョウやぬか漬けのしみじみとした味わいも良い。大切に過ごしたい時間が、信州の酒「美寿々」の、ふくよかでどこか懐かしい風味に溶けてゆく。


闇太郎
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-18-18
電話:0422-21-1797
営業時間:19:30~2:00
定休日:日