【一杯酒場】　東京・人形町「酒の店 笹新」

「甘酒横丁」の歴史を体現する粋な下町酒場の極み

人形町「甘酒横丁」で100年以上の歴史を持つ老舗酒屋「佐々木酒店」。そのご主人が46年前、店の隣に開いた念願の居酒屋がここ「笹新」だ。決してでしゃばらない佇まい、適度な広さ、雰囲気、何もかもが酒好きの好みにぴたりと合って、粋な下町酒場の極みのような店。現在は初代のお孫さんにあたる女将とそのご主人が中心となって切り盛りしている。

料理は毎日築地から仕入れる魚介を使ったものが中心。おのずといつでも季節ごとの旬を味わえるのが嬉しい。名物のひとつが、たっぷりのマグロのハラミとネギ、豆腐を煮込んだ「ねぎま」。口に入れるとほろりとほぐれ、高貴な香りを惜しみなく広げるマグロの身に酒を合わせれば、しばし目を閉じ、押し黙ってしまうほどの美味なる衝撃が待っている。こっくりと味が沁みた肉厚の「銀だら煮」もまた驚くべき一品で、酒もそうだが、思わず白いご飯が欲しくなってしまう日本人の“心の味”そのもの。純然たる酒場なのでそれは叶わないが、かつて懇願して汁だけを持ち帰った客がいたというのもうなずける。

魚以外にも、季節の野菜にひと手間かけた一品料理や、ファンの多い「肉豆腐」などの定番も多数。経営が酒屋なので、地酒や珍しい焼酎が手頃に飲めるのもまた嬉しい。

酒の店 笹新
住所：東京都中央区日本橋人形町2-20-3
電話：03-3668-2456
営業時間：17:00〜22:30
定休日：日・祝、第3土曜